出る区議は打たれる「中野区教育委員会がおそれた区議会議員」

酒井区長が就任した後に教育長も新しくなり、それから5年近く経ちます。そろそろ子育て先進区の教育委員会ならではの、他の自治体には無いような画期的な実績のひとつやふたつあってもいいと思うのですが、何か思い浮かぶことありますか?私は特にありません。

(女子生徒にスラックス着用を認めたことがニュースで取り上げられたりしましたが、そんなの北国の中学校とかでは半世紀以上前から認めていることです。)

逆に、これまで学校を減らしてきたことのツケが出てきて、プレハブ校舎でしのいでいる学校が区内には複数あること、(中野区だけの問題ではありませんが)担任不在のクラスがある小学校が区内に多数あること、コロナ禍におけるオンライン授業の対応等が迅速ではなかったこと、ナンセンスな校則が区内にあることを指摘しても対応が鈍いこと、中学校区の学区割りに合理性も柔軟性もないこと、素行に問題のある校長が異動されなかったことなど、いろんな問題が顕在化してきていますし、改善しようと思えばできるはずのこともなかなか改善されていきません。

それらのことから、私は、今の中野区の教育委員会のあり方や、教育長のやり方については批判的な目を向けており、入野現教育長の再任人事にあたっては、私は42人の区議会議員の中でただ一人だけ、反対をしました。

今、選挙前で、私が、区長が議会に提出したすべての議案に、他の大きな政党と共に、常に賛成をし続けたかのような文書が出回っていますが、それは事実と異なります。私は教育長任命の同意にはただ一人反対しましたし、大多数の議員が賛成をした議員報酬引き上げにも反対をしましたし、サンプラザ閉館イベントのたった3日間で6400万円も使うのはやり過ぎだと今年度予算案にも反対をしました。

また、立憲民主党や共産党が賛成をした児童館の廃館議案にも反対をして、中野区の児童館を守りました。区長が言ったとか「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったか」で、私は、常に、是々非々の判断をしてきました。なので、大きな政党と、たまたま同じ賛否だったものだけを切り取られて宣伝されるのは心外に感じています。

話を教育委員会に戻しますが、教育長再任の同意に反対された遺恨を教育長側も持っていたのでしょうか。

昨年10月、私がした、下のリンクの議会質問に対して、教育委員会から抗議の文書が区議会議長宛てに届いたということがありました。(議長宛なので、私の手元には正式な形では届いていません)

議長が臨時の議会運営委員会を招集し、その文書の扱いについて協議されましたが、私は同委員会メンバーではないため、発言機会はありませんでした(傍聴席で傍聴だけしていました)。

中野区議会きっての政策通であり、表現の自由には感度の高い森たかゆき議員が、「(小宮山議員の表現がいいとは決して思わないが)これは教育委員会から議会・議員に対する圧力であり、こんなものを議会として受け入れてはならない」と、議会の独立性や言論の自由を守る立場からの主張を展開し、その場の議論をリードしたこともあり、議会運営委員会として、この文書を受けて何かの対応をとるということはなくなりました。

私も、森議員と同意見です。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、かつてこんな発言をしたことがあるそうです。

私は支持率20%の大統領だ。多くの人に罵られている。これはこの国が自由な証拠だ。大統領をを罵り逮捕されるような国にウクライナをしてはならない。

権力者を批判する言論の自由は、民主主義の根幹を成すものです。(北朝鮮をイメージしてみてください)

中野区の教育行政の最高権力者である中野区教育委員会には、権力批判を受容しない気質がある。

わかりやすく言えば、人の言うことに耳を貸さない、それどころか自分と反対意見の相手の存在を認めようとせず、圧力をかけてくる、割とヤバい組織であるということが、この一件からは見えてくると思います。

行政機関から議会・議員に対して、公文書で抗議があったなんていう前例は(セクハラパワハラヘイトなど、犯罪的なケースではあるかもしれませんが)私は聞いたことがありません。

だって、議会や議員は行政をチェックするのが仕事ですからね?そりゃ、時として厳しいことも言いますし、怪しいことがあればツッコみますし、言われたくないことだって言いますよ!?

ある意味、俺がちゃんと仕事してるって証明じゃないですかコレ?「教育委員会がおそれた区議会議員」と名乗っていいですかね?(笑)

(もちろん、見方や立場を変えれば、私も公人であり、権力者の側であるという自覚もあります。私に対する、理路整然としていない批判やただの悪口や嫌がらせ等は無視することもあるかもしれませんが、理路整然としている批判はできる限り受け止めたいと意識しています。)

その、議会運営委員会の場で、「この文書を公開したりして、あまりことを荒立てないように」という、私に向けられた別の委員からの忠告もあり、私は、これまで、教育委員会が具体的にどんな抗議をしてきたのかは、あえて公表をしてきませんでした。

普段「無所属だからしがらみなし!」とは言ってますが、だからといってやりたい放題やって議会で敵を作りすぎると、長い目で見れば自分の首を絞めてしまうという大人の事情もあるんです。なので、私はこの文書の公開は、あえて、自分では、してこなかったんです。


ところが、今日、なんと、情報公開請求によって文書を入手されたという区民の方が、Twitter上に、教育委員会の公文書を公開されていらっしゃるのを発見してしまいました。(私が裏で働きかけたりしたわけでは決してありません。)

これは教育委員会が発した公文書です。公文書を公開した区民を、私が責めることはできませんし、「このツイートを取り下げてほしい」なんていう、まさに言論の自由を侵すようなことを、私自身がするわけにもいきません。(軽い面識はある方ですが、癒着や自作自演を疑われたくないので、今回のブログを書くにあたって、本人に連絡をとったりもしていません。)

こうして、教育委員会からの主張だけを一方的に公開されてしまうことは、特に選挙前の今、私にとって、不利益が大きすぎます。これはたいへん困ったことになってしまいました。ああ困った困った。いったいどうしたらいいんでしょう?

あらためて私の、当該の議会質問を、読んでみてください。言葉遣いに多少粗い点があることは否定しませんが、公文書で抗議をしなければならないほどの、セクハラパワハラヘイトのような犯罪的差別的な発言や、事実誤認が含まれているかどうか。

教育委員会からの抗議文書は区議会議長宛なので、実は私の手元には公式には届いていません。なので私は教育委員会に対して、公式に反論もしていませんし、反論機会もありませんでした。

そこで、私が今まで大人の事情で伏せてきたこの公文書がオモテに出てしまったこの機会に、この場に、私からの反論を、以下に掲載することにしました。

選挙前に攻撃(を公表)されてしまったら反論をしなければならない。これはある意味、政治家としての正当防衛なのでご理解ください。

1,夜の教育委員会の場で、区民からの意見を聞く場は設けているが、その場では一切回答が無いこと、8月5日の夜の教育委員会で見られたように、深刻な悩みを直訴しに来た区民に対して、公の席では一言のコメントも無かったことは事実である

PTA連合会は児童生徒保護者の代表としての役割は果たしており、区民との対話がゼロではないことは認めるが(そもそもゼロだとは言ってない)、そうした組織に属さない保護者や、子どものいない区民や学齢期の子どものいない区民と、教育委員との対話機会は一切存在していない。ゼロである。PTA連合会と対話をしていることのみをもって、「区民と対話している」とするのはいかがなものか。

小中学校の児童生徒との対話集会の内容の詳細は不明だが、区内の中学校で男女の靴下の色指定や長さ指定が違うなど、誰がどう考えても理不尽な校則が複数の学校で長年放置されている。対話集会をしていたとしても、これでは結果が伴っているとは思えない。校則については、子どもの権利条例を絵に描いたモチにしないためにも、今よりいっそう深い話し合いの機会を持ち、目に見える成果を早急に出していくべきだと考えている。

2,その席で私自身が発言したかどうかという個人的な話をしている訳ではない。当日の委員会運営について言及をしている。当日その場にいた傍聴者に対して、「この場ではお答えができる時間ではない」という発言を教育委員がしたことは事実である。また、傍聴者発言は認めるが、その場では一切何も返事をしないルールが存在することも事実である。区民が持ち込んだ悩みや課題に対して、その場で解決策を即答することが難しいことは理解するが、せめて一言、感想でもいいので、人として、人として何らかの声をかけるべきではないかと私は考えている。

3,2020年8月21日 人事や訴訟とは無関係の、文化財保護審議会への諮問についての議事を、「意思決定の過程にあること」を理由に非公開にしたことは事実である。また、その8日後、8月29日に予定されていた定例会は「休会」にすると区民には告知しておきながら、実際は、同日に非公開の「臨時会」を開催するという、あまりにも不自然で作為的な手法で会議を非公開にしていたことがある。少なくとも二つの会議を短期間のうちに非公開にしたことは事実である。(必要とあれば他のケースをあげることも可能です)

意思決定機関である教育委員会が、「意思決定の過程にあること」を理由として会議を非公開にするのであれば、すべての会議を非公開にすることが可能になってしまう。教育委員会には公開の原則が法で定められており、「意思決定の過程にあること」を理由とする会議の非公開は法律にのっとっていないと私は考えている。なお、人事や訴訟に関する案件を非公開にすることについては適法であり、私は、これをまったく問題としてないし、したこともない。

4,医師を職業とし、医師団体に所属している者が、長年に渡り中野区教育委員会の一席を占めているのは周知公然の事実である。(注*区民が調べたところによると、2001年から今日2023年までの20年以上、任期途中辞任者があった約3か月を除き、途切れたことは無いそうです)教育委員会が委員を選任するものではないことは私も認識をしており、当該発言は、区長に対して質問をしたものである。教育委員会から抗議を受ける筋合いには無い。

5,なお、「教育委員に対して事実の確認をしないままに発言をした」ということも問題視しているが、私は、教育委員会を傍聴し、区HPや教育委員会HP等を見て、あえて「区民がその気になれば得られるものと同じ質量の情報」だけを扱い、区民の目線と立場から質問をすることを心がけた。議員特権を使えば教育委員と言葉を交わすこともおそらく可能であろうが、そうした特権的な情報収集は、今回はあえてしていない。

明らかな事実誤認があれば、私も大人ですし、言論人のつもりですから、発言を撤回して謝罪します。しかし、今回、明らかな事実誤認は無いと私は考えています。よくある「見解の相違」レベルのお話です。議会でも、世間一般でも、よくあるお話です。

そうした見解の相違があった程度で、一議員の発言に対して公文書で抗議してくる中野区教育委員会。こんな教育委員会が、学校で、小中学生の言論の自由や子どもの権利を本当にちゃんと認めているんでしょうかね!?

権力者を相手にたった一人でケンカを挑むからには、相手のことを深く正しく知らなければなりません。

中野区教育委員会とは引き続き真剣勝負をしていきたいと思ってます!

教育長の就任にただ一人反対をし、教育委員会から、中野区史上初の公文書による抗議を受けた議員、「教育委員会がおそれた男」それが小宮山たかしです。

俺が議員でなくなるのが先か、教育長が代わるのが先か、どっちが先か賭けようじゃないの!?

と思ってます。公職者が賭け事しちゃいけませんが、政治生命なら賭けられますよ(笑)