地方議会が国会等に提出する意見書とかチョー面倒なんすけど

*タイトルが不謹慎なのは、ふざけた表現で人目を引き、何はともあれ下記を読んでいただくためです。

2018年12月の中野区議会で「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書」が賛成多数で可決されたことが東京新聞で取り上げられました。

反対したのは自民党と都民ファーストの内野大三郎区議でした。

僕は賛成しておきました。

そもそも意見書とは何か?

地方自治法第99条において、地方議会は、当該地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会または関係行政庁に提出することができると定めているものです。

要するに、地方議会から国会等に物申すための制度ですね。

ただし、国や国会からの回答義務もなければ拘束力もありません。

なので、今回、一地方議会で意見書が採用されたことがニュースになっていることに、僕は戸惑いさえ感じています。

意見書には事実上何の効力もないのですから、「最初の一歩」ですらないのに…。

意見書に、どのくらい効力や拘束力が無いのかと言えば、全国各地の自治体から「意見書等に対する誠実な処理に関する意見書」が提出されているぐらいです。

この記事を書くにあたり、過去に、全国の議会から、どのような意見書が何件ぐらい出されているのか調べようとしましたが、「立法と調査」という国会発行の雑誌に「地方議会からの意見書― 参議院が受理した意見書の主な項目」というまとめ記事があった他には、ほとんど情報はなく、ナニが何件という資料は見つけられませんでした。

全国1700余の地方議会から提出された意見書は、衆・参議員の公報に掲載されているらしいので、衆・参議員のHPを、ページ内検索をしたりして、それぞれ5分ぐらい探してみても、地方議会から提出された意見書のリストが載った公報のページにたどり着くことはできませんでした。

国会議員の皆さんは、いったいどうやって意見書を手にして、目を通しているんでしょう?私は実は若い頃に1年数カ月の国会議員秘書経験(議員会館勤務)があります。若い頃なので記憶が曖昧ではありますが、意見書を扱った記憶はありません。(公報自体は見たことがあります)

福岡県議会が令和4年3月に採択した意見書「地方議会が提出する意見書の積極活用を求める意見書」には下記のように書かれています。

意見書の提出を希望する側の区民市民は、国会に提出された意見書が、そのように雑に扱われているということは知らない方がほとんどです。なので、地方議会で採択された意見書が国会に届き、それに呼応して国会が遅かれ早かれ動き始めるかのようなイメージでとらえている方もきっといらっしゃることでしょう。

意見書が中野区議会で採択されることで、もともとの提案者はきっと「最初の一歩を踏み出せた」「岩が少し動いた」と、何らかの達成感を得るはずです。しかしその小さな達成感は、実際は国会で書類の山に埋もれてしまうのですから、ある意味残酷です。

その現実を知っていながら「大丈夫!この意見書は私に任せてください!採択めざして一緒にがんばりましょう!」「私たちはこの意見書を国会に提出しました!!」みたいなパフォーマンスは僕にはできません。

また、国政課題、ましてや国際課題については、中野区議会にアプローチをするよりも、実際にそれを動かすだけの権力を握っている国会議員にアプローチをした方がはるかに効率的です。たとえば消費税率を変えたいと中野区議会議員に相談をするのは、お互いに時間の無駄だと僕は考えます。中野区議会や区議会議員に消費税率を変える特別な力は何もありません(ひとりの国民としての力はあります)。

「公園のすべり台がザラザラしていてズボンに穴があくので何とかしてくれ」「自宅から100メートル先の学校に通学できないのはおかしいので何とかしてくれ」「ドブが詰まった」「道路に穴があいた」みたいな相談をどうにかするのが僕の本業であり本分です。

まあ、ドブが詰まったとか道路に穴があいたみたいなことは、区議を介さずとも、区民が、直接、行政の担当部署に問い合わせても動いてくれるはずですし、区議が問い合わせた時の対応と、区民が問い合わせた時の対応は、同じであるはずですが…。

そもそも、完全無所属の僕は、国会議員や都議会議員との政治的なつながりは一切もっていません。地方の声を中央に届ける、政治家としてのすべを何も持っていないのに、「区民の声を国会に届けてください!!」と言われても…。俺国会議員じゃないし。(国や都の議会にプライベートの友人知人は複数いますが、プライベートと仕事は別です。)

本来であれば、地方議会の声を国会に届けるのが意見書のあるべき姿ですが、それが形骸化しているのは前述のとおりです。

議会があるたびに、いろんな国政課題に関する意見書が数本提出されますが、僕だって、すべての国政課題について、イエスかノーか、ハッキリ決めているわけではありません。新聞やネット記事を読んだ程度の知識しか持ち合わせていない場合もありますし、ここだけの話、専門的なテーマに関しては知識がほとんど無い場合もありますにんげんだもの。

特に僕は一人で活動をしていますので、一人の人間の持つ時間とエネルギーと能力には限界があり、新人議員の頃から、徹底して「選択と集中」を意識した政治活動をしてきました。たとえば子育て支援・市民活動支援・文化芸術振興・生物多様性保全・緑化推進・商店街振興・学校教育・教育委員会・公園・待機児童問題等については、中野区議会議員42人いる中でもトップクラスの情報とか知識とか経験とかネットワークを持っているつもりですが、他の分野については、並かそれ以下の議員ですよ僕は。

自分の限られた時間とエネルギーを、限られたテーマに、効率的に使いたい。何でもできるゼネラリストではなく、コレだけは誰にも負けないというスペシャリストを志向するのが僕の政治スタンスです。

なので、意見書が出るたびに、さまざま多岐にわたる国政課題について、アレコレ調べたり考えたりして、賛否を公式に表明し、踏み絵を踏まされなければならないのは、面倒なのでやめてほしいんですけど…とは言いませんが、平成17年から意見書制度がスタートして、これまで、何万という意見書が地方議会からは提出されていることと思いますが、地方議会からの意見書が直接の契機となって国会が動いたようなことは多分一度も無いと思うので、やめてほしいんですけど…とは言いませんが、「意見書制度を見直す意見書」を提出するぐらいのことはしてもいいんじゃないですかね。

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