決算特別委員会総括質疑「重大事件について」

8月18日 日曜日 午前7時頃、区内の警察病院から、身長180cmもある、男性窃盗犯が逃走した事件は、皆さんの記憶にも新しいことでしょう。

その事件の報道がネット上で配信されたのは、逃走から4時間弱経った10時48分のことでした。

その事件に関する注意喚起が「中野区安全・安心(防犯)メール 」で配信されたのは逃走から8時間以上経った15時10分のことでした。

この事件に関する情報連絡体制はいったいどうなっているのか?なぜ遅れたのか?日曜日だから遅れたのかどうか?そのあたりの経緯を教えてください。

〇交通安全担当課長 現状といたしましては、連続発生のおそれがある重要凶悪事件が発生した場合には、警察が地域住民への必要な情報提供を行うことに合わせ、区に対する情報提供が行われるものと認識しております。

 また、区内警察署に対しましては、夜間・休日重要凶悪事件等が発生した場合の緊急連絡先といたしまして区担当者の連絡先を提供するなど、情報連絡体制の構築に努めているところでございます。

 本件につきましては、警察から区への情報提供はなく、報道により事案を認知したことから、以後、防犯情報の提供を所管する生活・交通安全担当において、警察への問い合わせを行うなどの対応を実施しております。その後、警察がメール等で情報提供を行った事実を確認した上で、区といたしまして、中野区安全・安心メールにより防犯情報としての情報提供を実施したものでございます。今回の区による防犯情報の提供に一定の時間を要したことについては事実ではございますが、区が事実を認知してからの区の対応について特段の問題があったものとは認識しておりません。

今回の事件はたまたま日曜日に発生しました。なので、児童館幼稚園保育園小中学校など、児童関連の公共施設に対して、一分一秒でも早く、注意喚起を呼び掛ける必要はありませんでした。

もし、これが平日に発生した場合、どういった事態になると想定されるのか?保育士や保育園児は事件について何も知らされないまま、現場付近の四季の森公園でお散歩をしたりすることになるのかどうか?教えてください。

〇交通安全担当課長 子どもに危害を加える事件等が発生し、同事件の情報を入手した際には速やかに子ども教育部、教育委員会事務局等への情報提供を行うこととしておりまして、各所管から各施設管理者等への連絡が行われる体制は構築されております。

 本件についても、子ども教育部等への情報提供を行いますとともに、緊急的な対応といたしまして、区職員が乗車する青色灯防犯パトロールカーにより、本件発生翌日になります19日の月曜日、午前8時から四季の森公園を含めた警察病院周辺の公園、保育園、小学校、児童館等の周辺道路の巡回パトロールを実施するなど、子どもの安全確保に資する対応に努めたところでございます。

窃盗犯の逃走事件は全国ニュースにもなりましたので、皆さんよくご存じのことと思います。

では、6月21日、上高田で女子高生がカッターで切り付けられた事件の2日後の6月23日 日曜日 都立家政駅の近くの若宮公園で、刃物を持った50代の男が、男子中学生3人を、大声で威圧した事件について、皆さんはご存じでしょうか?

この事件についてはご存じない方が多いと思いますが、私がTwitterでの情報提供や注意喚起などを呼び掛けていたところ、その時に現場にいた親子連れAさんの旦那さんを名乗る方から連絡があり、事件の詳細についてメールでお話をうかがうことができました。

6月23日日曜日16時15分頃、若宮公園では、3人の男子中学生と、3組の親子連れが遊んでいたそうです。

公園の中央に座っていた50台の男性が突然立ち上がり、「さっきから散々バカにしやがって!」とどなり始め、ポケットから果物ナイフを出した。犯人はどなった後、果物ナイフを一度仕舞ったが、その後再度取り出し「おい、警察呼ぶなら呼んでこいよ!」と立ち上がってナイフを振りかざし中学生に近づいた。

Aさんは、3歳のお子さんを抱きかかえ、中学生のうちの一人と共に、走って逃げ、都立家政駅前の交番に駆け込んだが不在だったため、そこから電話で通報をした。という事件でした。

その際に事情聴取をした警察官の話だと、以前からそのエリアでは不審者の出没が相次いでいるとのことでした。

以上が、若宮公園事件の詳細です。

傷害未遂罪という罪は刑法上ありませんから、おそらく脅迫罪に該当するのかなと思いますが、いずれにしてもこのまま野放しにはできません。

これに関して、区からの公式な注意喚起は出ておりませんが、区として公式もしくは非公式な情報を把握しているのかいないのか、教えてください。

交通安全担当課長 本件については警察から区への情報提供はありませんで、SNSにより情報を入手いたしましたことから、以後、防犯情報の提供を所管する生活・交通安全担当において、警察に対する問い合わせを行うなどの対応を行ったものでございます。

 区といたしまして、防犯情報を区民へ提供する際の判断基準といたしましては、情報の確実性等を確保することが最も重要であるというふうに認識しておりますが、今回の件に関しましては、警察に対する問い合わせ等を通じまして、その点について、区として判断するに足りる情報入手に至らなかったことから、防犯情報の提供については実施しなかったものでございます。

私は警察にも取材をしました。野方警察の生活安全課長いわく、脅された当事者の中学生の特定ができておらず、当事者や被害者が特定できない情報は流せないという警察の内規があるため、区に対して情報を流さなかったとのことでした。

実は、今回のこの事件、警察や中野区からの公式発表は無かったのですが、私が事件について第一報を聞いたのは、事件から約3時間後の午後7時半、Facebookの、子育て支援グループのメッセージでした。

その後、その夜のうちに、TwitterやFacebookやLINEグループなど、あらゆるSNSでこの情報が駆け巡っていました。

私は、この情報の信頼できる情報源、もしくは警察からの公式情報を確認しようと、警察に問い合わせたのですが、「交番に駆け込んだ人がいるかどうかも含め、捜査中なので何も言えない」との返答で、警察からの公式情報を得ることはできませんでした。

今回の事件には二つの問題点があります。ひとつは、危険人物が中野区内にいたということ。これは明らかな問題ですし、警察がキチンと対応すべき問題であるし、おそらく対応してくださっていることと思います。

事件の数日後に私も若宮公園を訪れましたが、公園内に注意書き等はなく、その日もお年寄りや親子連れが出入りしていました。危険人物が中野区内にいたということに対して、区は何らかの注意喚起をしておくべきであったと私は考えます。

もう一つの問題は、公式な、信頼できる情報が、警察や区といった行政機関からは発信されず、その一方で、民間の情報網によって、あっという間に情報が広まっていったということ。こうした事態に、私は大きな危惧を抱きます。

公式な情報が出ないということは、その事件が本当に事実なのかどうか、発信者以外は誰もわからないということです。ここで、悪意ある発信者が、たとえば、たとえばの話ですけれども「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」という情報を発信したら、パニックが発生しうるということは、歴史が証明しています。

また、伝言ゲームの経験は皆さんもおありでしょうが、たとえ悪意がなくとも、情報には尾ひれはひれがついて広まっていくものです。今回はたまたま正しい情報のみが拡散されていったようですが、行政機関からの公式発表が無いにも関わらず、民間の口コミベースで、情報があっという間に広まってしまう現状、これは、実はとても危険な状態です。

これは、今回のような事件の時のみならず、地震等の発災時にも言えることです。警察からの公式情報の発信がなければ、区は一切何も対応しないという今の体制で、区民の安全が本当に守れるのでしょうか。

昔は、情報を入手する手段は非常に限られていました。朝と夕方の新聞そしてテレビのニュースなどが、主な情報現でありました。しかし、今は違います。

情報の伝達や拡散のスピードが非常に早くなっている現在、デマや流言飛語を予防するためにも、警察情報の発信のあり方についての協議や調整などを、警察とあらためておこなうべきであります。また、警察には頼らない、中野区としての情報発信のあり方を検討すべきと思いますが、いかがでしょうか?

〇交通安全担当課長 繰り返しの答弁となりますけれども、現状といたしましては、連続発生のおそれがある重要凶悪事件等が発生した場合には、警察が地域住民への必要な情報提供を行うことにあわせて、区に対する情報提供が行われるものと認識しております。

 捜査権限を持ちまして捜査活動を行う警察当局の情報を代替するものはないものと認識しているところでありまして、区としては本件に関する情報発信については実施しなかったものの、情報を入手した以降、青色灯防犯パトロールカーによる同公園周辺の巡回パトロールを強化するなどの対応を行ったところでございます。

 今後は、さらに警察との連携強化を図りつつ、区の広報媒体等を活用いたしまして、区民に対する適時適切な防犯情報の提供に努めてまいりたいというふうに思っております。

公式な情報は流せなくても、例えば非公式に公園に注意喚起を促すとか、そういった非公式な対応もできる範囲でやっていただきたいと要望を――していただきたいと、何かあってからでは遅いので、できるだけのことはしていただきたいと要望をしておきます。

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